- もとの所在地
- 秋田県由利郡大内町(現在は秋田県由利本荘市)
- 建築年代
- 19世紀末(明治期頃)
- 規模
- 床面積427m2(118坪)
- 家の形式
- 両中門造り
- 寄贈者
- 吉尾 照彦 氏
- 宮城県川崎町有形文化財指定第7号(平成14年指定)
もとの所在地
この家が建っていた旧大内町は、秋田県南部の本荘平野にあり、冬は雪が多く、寒さのきびしい地域です。
この家に住んでいた吉尾さん一家は、農業や林業を手広く営み、多くの使用人を置いていました。この家は東北地方でも最大級の民家でした。
家の特色 ─両中門造り─
この家の形は「両中門造り」と呼ばれるもので、主屋の両側に二つの出入口を突き出しています。馬屋にある出入口は、家の人や使用人が使っていました。もうひとつの出入口はお客様をお迎えするための特別の玄関でした。
本荘由利の家 平面図 縮尺1/60
- うまや(馬屋)
- 農耕用の馬が飼われていました。この地方の「うまや」は主屋の中に造り、冬の寒さから馬を守り、馬の世話にも便利でした。
- にわ(内庭)
- 「にわ」は土間で、冬季や雨の日、夜間などに、収穫やワラ仕事の作業場として使われました。
- げんかん(玄関)
- 正式な客を迎えるための入り口です。隣の「へや」とともに前方に突き出して「へや中門」の形に造られています。
- へや(玄関の部屋)
- 主人夫婦の寝室でした。衣類の箪笥なども置いていました。
- ちゃのま(茶の間)
- 日常的な来客への応対や、少人数での集まりなどに使われました。
- かみざしき(上座敷)・しもざしき(下座敷)
- 「かみざしき」は床の間を備えた正式の客間で、「しもざしき」はいわゆる次の間です。
- いんきょ(隠居)
- 老夫婦の居間でした。隣の「へや」とともに後方に突き出して「裏中門」の形に造られています。
- へや(隠居脇の部屋)
- 次男、三男(主人の弟)の寝室として使われました。隣の「いんきょ」とともに後方に突き出して「裏中門」の形に造られています。
- なんど(納戸)
- 衣類や客布団などをしまっていました。ここの中二階は、物置部屋でした。
- だいどこ(台所)
- 家族の日常の居間で、炉(この地方では「ゆるり(ゆりり、ゆるん)」などと呼ぶ)を囲む団らんと食事の場所でした。
- ともべや(とも部屋)
- 炊事や配膳の場所でした。ここの中二階は、使用人の寝室でした。
- みじゃ(水屋)
- 流しが設けられ、炊事場の一部でした。奥には漬物や味噌などを貯えておきました。
- へや(部屋)
- ここは、女子の住みこみ使用人の寝泊まりの場所だったと思われます。